いよいよ5月から待望のシーズン4が始まるストレンジャー・シングス。
首を長〜くして待っていた方も多いのでは?
パチンコ一つでモンスターに立ち向かうクールで勇敢でちょっぴりオタクな子供たちが世界を救う物語。
あらゆるものが渾然一体となって渦巻き迫ってくる面白さ。
失踪した少年の行方は?モンスターの正体は?そしてこのドラマに秘められたとっておきのある戦略とは?
息つく暇もない面白さについて、徹底的に語っていきたいと思います。
まずはシーズン1から!
(↓シーズン2感想はこちら!)
あらすじ
舞台は1983年のインディアナ州。ホーキンス国立研究所付近で「何か」を目撃したウィルは忽然と姿を消す。
マイク、ダスティン、ルーカスは友達ウィルの捜索中、エルと名乗る謎の少女と知り合うことになる。
一方で警察署長のジム・ホッパー。
彼はウィル捜査の過程で、国立研究所に目をつける。そこでは恐るべき実験が行われていた…
ストレンジャー・シングス制作に秘められたある戦略とは?
ちょっとオタクで冒険好きな少年達、謎の超能力少女エル、不気味な研究所、ウィルの失踪。
この4つの要素が相互に関係し合いながら進んでいきます。
シーズン1のポイントはズバリ「子供たちの友情」ですね。
ミステリーちっくに色々なことが起こりますが、すべての伏線は最終的に「大友情物語」として帰結します。
それを象徴するのがラストのあの感動的な大オチ。涙した方も多かったのでは?
「私が犠牲に…何故なら友達のために!」
たしかに名場面ではあります。ええ私だって泣きましたよ。
でもよくよく考えてみると、この演出はかなり古臭い。何というか昭和ちっくだ。
でもそんなこと関係なしにエルの雄姿は我々の胸にブッ刺さった。
この場面に限らず、ストレンジャー・シングスの演出は普通のドラマと比べちょっとありえないレベルで感情移入を促される。
それは何故か?何故こんなにも心に響くのか?
何故ならそこにはある戦略が隠されているからです。
古臭い演出の謎
そう、現代の時代感覚で「仲間のために自分を犠牲に!」みたいな古臭い演出は、もしかして成立しにくいかもしれないし、
成立したとしても共感はされにくいですよね。
でもこのドラマ、そんな今の時代ではなかなか共感を得にくいような古臭い演出が、あらゆるところで「これでもか!」と言わんばかりに展開されていきます。
そして不思議なことにそんな古臭い演出に全く違和感を感じない。
本気の80年代精神
なぜ違和感を感じないのかと言うと、このドラマ、そもそも時代設定だけではなく、制作スタンスも含めてまるっと80年代的だからです。
どういう事か?
要はこのドラマの80年代っぽさって、単なる衣装や音楽や小道具としてのそれではなく、
全体的なマインドや精神性までをも含めての80年代っぽさなんです。
なんというか「本物」なんです。「マジ」なんです。
例えばモンスターがどのような経緯で誕生したかなんてこのドラマではあまり説明されない。
何故かというと、
「だってこのドラマそもそも80年代メタファーだから!」
「だって80年代の映画っていちいちそんなこと説明してなかったじゃん!」
ってスタンスだから。そんなスタンスで最初から開き直っている感じというか。
面倒な説明は省略省略!なぜなら映画だから!
みたいな。
ファンタジー性の追求と「何でもアリ戦略」
では何故こんなスタンスが必要なのかというと、
リアリティを廃してファンタジー性を徹底的に追求するための言い訳として必要なのです。
その言い訳を用意する事で、今の時代感ではちょっと無理のある演出でも平気で出来てしまえる美味しさ。
例えばハリーポッターみたいに「そもそもの設定が異世界」っていうのも一つの強力な言い訳ですよね。異世界だから映画的に何でもアリになる。
でもこのストレンジャー・シングスの設定はあくまでも現実世界。
じゃあ何でもアリにするための言い訳をどうしよう?となった時の答えが
「80年代の精神性をまんま引き継ごう」だったんだろうと。
要するに、
説明することで失われる面白さ
この何でもアリっていうのは強い。
「モンスターは何故誕生したのか?」「エルはなぜ超能力が使えるのか?」
っていう面倒な理由付けをする必要がないという事は、映画として凄く都合がいいんだ。
だってファンタジー性を失わずに済むから。
ファンタジー性というのはつまり説明する事で失われてしまう面白さの事。
それを失わずに済む。
だからこのドラマの真に凄いところは、ストーリーやキャラクター以上に、
というところにあるのでは。
そんな気がしています。
ウィルの失踪
長くなってしまいましたが、ここからは登場人物について。
シーズン1序盤のクライマックスはなんと言ってもウィルの失踪ですね。
どうやらこことは別の世界にいるようで、電灯を使って必死で母親に合図を送ったりもします。(「RUN」のくだりは心底ゾッとした)。
ところがある夜、採石場で死体として発見されてしまいます…
少年たちの絆の強さが散々説明された後での展開なのでかなりショッキングでした。
最終的には疑問を感じたホッパーが無理やり死体を調べてみると…何と中から綿が。そう、ウィルの死体は人形だった!
ここは結構ポイントですね。ウィルは生きていた!っていう喜びと、じゃあどこに?っていう謎を同時に投げかける。
視聴者を虜にさせる仕掛けが絶妙に上手い!
この時点では、研究所サイドが何らかの理由でウィルの死をでっち上げたという事になる訳ですが、その理由がイマイチはっきりしない。
でもどうやら謎の超能力少女エルが鍵を握っている…。
小出し小出しで攻めてくるチラリズムっぷりがたまんないですね。
次が見たくて仕方なくなります!
スティーブの存在
スティーブは最初「ナンシーの彼氏」として脇役での登場でした。
女たらしな不良少年スティーブと優等生ナンシーの恋が、あくまでもサブストーリーとして進行していきます。
しかもスティーブはジョナサンのカメラを一方的に壊したり当初は本当に嫌なキャラ。
SF映画にありがちな「存在自体が死亡フラグ」みたいな、真っ先にモンスターに殺されるお決まりの役だろうと誰もが思っていたのでは。
ところがあるきっかけで少年たちと行動を共にする中で、彼らの良き理解者へとなっていくんですよね。頼れる兄貴キャラへと急激に進化を遂げる。
シーズン1の山場の一つでもあるモンスターとの直接対決でも釘バットを振り回して大活躍!
ストレンジャー・シングスは登場人物達のキャラ立ちが素晴らしいのも大きな魅力の一つです。しかもその登場人物達は物語と共に成長していくのです。
それを象徴するのがスティーブの存在なのだと思います。
ちなみに一時期プライベートでもナンシーと付き合っていました。
謎の少女エル
そしてそして誰よりも重要なのがエルの存在。このドラマの主人公ですね。
自身の能力に戸惑いながらも何とか友達に受け入れられようと奮闘する姿、そして認められていく過程。胸が熱くなります。
特にシーズン1は、エルが仲間達を通して人間としての感情を取り戻していく物語でもあります。
友達の気持ちに何とか答えようと命がけで戦いたい気持ちと、でも自分の力を上手くコントロール出来ない葛藤。
そんなエルの揺れ動く心情の描き方もシーズン1最大のポイントです。
MVPはジョイス!
あとはやっぱり母親ジョイス役のウィノナ・ライダー!ぶっちぎりでMVPです。
時には激しく取り乱し、思ったことは即行動。びっくりするほど人の意見に耳を貸さない(笑)。
ただひたすら待ち続けるステレオタイプな母親像ではなく、ゴーイング・マイウェイで少しぶっ壊れた母親像を提示したウィノナはやっぱり偉大だと思います。
特にシーズン1はジョイスの存在無しでは考えられない!
寡黙なウィルとこの母親、いう対比の良さもイイですね。ホッパーとの微妙な関係も見ものです。
頼れるホッパー
あらゆることを力技で解決していく頼れるアウトロー警官、ホッパー。
ビール飲み過ぎだしタバコ吸いすぎだけど、ここぞと言う時は誰よりも頼れる、いわばストレンジャー・シングスのお父さん的存在ですね。
プライベートでは何とリリー・アレンの旦那さんなのだそうで!
愛されダスティン
抜群の愛嬌を誇るダスティン!ダスティンが画面に出て来るだけで嬉しくなってしまいます!
絆をいつも一番に考えて行動する友達思いのアツいやつ。根がまっすぐだからたまに空回りするけど絶対にヘコタレない所もまた魅力ですね。
全編を通して圧倒的なムードメイカーっぷりを発揮します。とにかく最高としか言いようがない!見てこの笑顔!
シーズン2以降のスティーブとの凸凹コンビがまた最高なんだ。
最後に
いかがでしょうか?Netflix史上最高の視聴数を誇るのも納得できる圧倒的な完成度です。
もう何度も見たよ!って方も新シーズンに向けてもう一度復習です。
もしまだ見ていないという方がいれば貴方は幸せです。だってまっさらの頭でこのドラマを見ることができるんですから!
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